「ひょっとしたら…」の時に知っておきたい、乳がんの初期症状・予防方法

このしこりは乳がん?初期症状かもと不安な人の乳がん予防ガイド

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最近の乳がん事情について

最近の乳がん事情についてまとめました。精密検査を受ける大切さやピンクリボン運動の活動についても記載してます。

年々増え続ける乳がん

日本では乳がんにかかる女性は年々増加。現在では女性が最も発症するがんで11人に1人がなると言われています。

年齢別にみると胃がんや肺がん、大腸がんのように年齢とともに増えるがんとは違い、乳がんは 30代から増えはじめて40歳代後半にピークを迎えます。近年は閉経している60代の女性がかかるケースもあるようです。また、20代で患う可能性もあるため、若い世代でも関心を持つ必要があります。

検診で良性がでても安心できない!?

2017年6月に乳がんのために34歳で亡くなった小林麻央さん。彼女が最初に乳がんの可能性があると告げられたのは、2014年2月に人間ドックを受診したときです。すぐに専門の病院で検査を受けましたが、このときは乳がんとは診断されませんでした。しかし、その年の10月、彼女は乳腺にしこりがあることに気がつき、再検査を受けたところ、乳がんと判明。さらに、精密検査をしたところ進行性のがんであったことがわかり、リンパ腺への転移も認められたそうです。

乳腺が発達している20〜30代は、乳腺密度が高く検査ではどちらも同じように白く写ってしまいます。そのため、それが乳腺なのか、悪性腫瘍なのかを判別しにくいのが現状です。

小林麻央さんのように検査を受けて「大丈夫」と診断されたにも関わらず、わずか数カ月後に乳がんが発覚するほど悔しいことはありません。

実際に麻央さんは自身のブログの中で

「もっと自分の身体を大切にすればよかった」

「もうひとつ病院に行けばよかった」

「あのとき、信じなければよかった」

などという後悔の念も吐露しています。

そんな後悔をしないためにも、検査の結果が気になるようであれば、2次検査を受けるようにしましょう。

また、検査結果に関わらず、日頃から「予防」をすることも大切なのです。

30歳すぎたら他人事ではない自分ではじめる乳がん予防について詳しく見る>>

以下のページに乳がんの疾患率や生存率に関するデータをまとめました。死亡率は他のがんに比べてどれぐらい高いのかを比較しているので、ぜひ参考にしてください。

データでみる乳がんについて詳しく見る>>

乳がんの予防切除を前向きに検討する

病気は発症してから治療するのが一般的な流れとなっていますが、近年注目を集めているのがあらかじめ病気のリスクが高いと判断された場合に、そのリスクをいち早く取り除いておく方法です。乳がんに関していうと、リスクを下げるための一つの選択肢として、「予防切除」が挙げられます。

予防切除とは?

その名の通り、乳がんの予防目的で乳房を切除する治療法のことです。あくまでリスクを減らすためのものであり、乳がんが発症してから行う切除術とは考え方が異なります。

あらかじめリスクの高い乳房を切除しておくことにより、発症リスクを抑えようというのがこの方法のメリットだといえるでしょう。

米国の人気女優であるアンジェリーナ・ジョリーさんが予防切除に関する手術を受けたことを公表し、日本でもニュースで大きく取り上げられたのをご存知の方も多いのではないでしょうか。

今後は自身の健康を優先し、更にこの動きが広がっていく可能性もあります。

乳がんリスクの高い人

乳がん全体の年間罹患者数は80,000人といわれていますが、そのうちの2,400人~4,000人は遺伝性乳がん・卵巣がん症候群と想定されています。

また、8,000人~18,000人は家族性乳がんと想定されているのです。これは、患者の血縁者に複数の乳がん患者がいる状態のこと。ここからも、遺伝の与える影響は大きいことが予想されます。

私たちの体の中には遺伝子があるわけですが、誰もが細胞の中の遺伝子が傷ついた際に修復する働きを持った「BRCA1」、「BRCA2」というものを持っていています。しかし、これらに生まれつきの変異があったり、機能が失われた場合には乳がんリスクが高まってしまうのです。

そのため、遺伝子に異常があることがわかった場合は、乳がんリスクを抑えるための一つの方法として乳房切除術についても検討してみてはどうでしょうか。

一例として、BRCA1またはBRCA2に変異がある女性のうち、予防的切除術を受けた247名に乳がんの発症はなかったものの、切除術を受けなかった1,372名のおよそ7%にあたる98名は乳がんを発症したとの報告もあります。

参考:(PDF)厚生労働省:がん対策加速化プラン策定に向けた委員からの意見(第53回協議会後)[PDF]

予防切除のメリット・デメリット

まずメリットとして挙げられるのが、遺伝性の乳がんリスクがある場合、これを大幅に低下させられるということです。血縁者に乳がん患者が多く、もしかしたら自分もなってしまうのでは…と普段から心配している方にとっては、大きな安心材料にもつながるでしょう。

続いてデメリットとして挙げられるのが、仮に遺伝子検査でがんになるリスクが高いと診断されていたとしても、将来的に必ずしもがんになるわけではないということが挙げられます。そういった場合は健康な体に無駄にメスを入れるだけの結果につながってしまうでしょう。

乳房がなくなってしまうのも女性にとって大きなコンプレックスにつながります。しかし、近年は乳房再建の技術も向上しており、まるで本人のものとほとんど見分けがつかないような乳房を手に入れることが可能です。

同時再建という形で予防目的での乳房切除術とともに乳房再建を行うことも可能なので、予防切除最大のデメリットでもあるなくなった胸へのコンプレックスといったリスクを抑えることは十分に可能だといえるでしょう。

確かに費用はかかってしまいますが、万が一がんになってしまったときのことを考えると、予防切除に前向きになるメリットは非常に大きいといえます。

もう一つ押さえておかなければならないデメリットは、予防目的で乳房の切除を行ったからといって100%乳がんを防げるわけではありません。実際に死亡率改善のデータについてはまだ不十分なところがあるので、この点も頭に入れた上で検討しましょう。

予防切除を受ける場合

予防切除という選択肢は用意されていますが、原則として医師から提案されるものではなく、患者側からお願いする形となります。

また、実際に手術を受ける場合、病気の治療目的ではなく予防目的という形になるため、保険の対象にはなりません。自由診療となり、全額自己負担なのでこの点は気をつけておきましょう。

乳房予防切除術について詳しく見る>>

早期乳がんの70%は化学療法は必要ないって本当?

乳がんに限ったことではなく、病気なら発見されたらできるだけ早く治療に取り組んだほうが良いように思いますよね。しかし、必ずしもそうとはいえません。

乳がんの場合も、早期の状態で発見された場合、70%ほどは化学療法の必要がないことがわかったのです。

乳がんの治療をする際に基本ともいえるのがホルモン療法となっており、選択肢としてこれにプラスして化学療法を行う方法が挙げられます。しかし、化学療法は体への負担も大きく、必ずしもホルモン療法に組み合わせて行った方が最良な結果が得られるとは限らないのです。

米国で行われた最新のがん研究

米国で、最新のがん研究の結果が発表されました。この中で、早期乳がんの70%に対して化学療法は不要であるといった事実を裏付ける実験があります。

これまでは、再発スコアが0~10とされる患者には、化学療法は不要とされていました。化学療法が再発率を下げるために効果を発揮するのはスコアが26以上の患者とされているからです。

ですが、その中間にあたるスコア11~25の患者に対しては、「念のため」ということで、化学療法を受けるケースもたくさんあります。

そこで、この念のために化学療法を受けているスコア11~25に該当する患者は、本当に化学療法が効果的なのか?を調べる研究が行われたのです。

試験の中では、スコア11~25に該当する患者を無作為に2つのグループに分けました。

そして片方のグループにはホルモン療養のみ、もう片方にはホルモン療養に加えて、化学療法を併用し、どれほどの変化が出るのかを確かめたのです。

目的と結果

このような事件が行われた目的は、ホルモン療法のみでも、ホルモン療法に加えて化学療法を受けた人と同じくらいの治療結果が得られるのかどうか?ということを証明するためです。もしここで同等の成果が出た場合には身体に負担を与える化学療法をムリに取り入れるメリットは少なくなります。

治療を行ってから5年後、それぞれのグループがどれほどの再発率となるのかを調査した結果、再発がみられなかった率は次のようになりました。

更に治療9年後のデータが次の通りです。

いずれの場合もほんのわずかではありますが、ホルモン療養+化学療法のグループの方が再発を抑えられているものの、いずれの場合も大きな差はなく、ほとんど同じだといえます。ちなみに、生存率に関しても同じような値を示しており、こちらの場合は5年生存率がホルモン療法のみのグループで98.0%、併用グループは98.1%とほぼ同じです。

9年生存率についても単独グループは93.9%、併用グループが93.8%となっているので、再発率がある一定のスコアと判断された患者に対しては、ホルモン療法に加えて化学療法を行ったとしても変化がなかったという研究結果となりました。

もちろん、この研究データは米国のものなので、日本人に100%当てはまるとはいえません。ですが、乳がんの発生原因は国によって異なるものではないため、1つの参考にしてみてはどうでしょうか。

参考:Adjuvant Chemotherapy Guided by a 21-Gene Expression Assay in Breast Cancer:New England Journal of Medicine

参考:国立がん研究所:New approach to immunotherapy leads to complete response in breast cancer patient unresponsive to other treatments

化学療法に関する負担

できる治療ならばすべて実践したいと考えている方も多いでしょう。しかし、化学療法を行う場合、副作用が体に与える影響についても押さえておかなければならないのです。

代表的な副作用といえば、吐き気や脱毛、白血球の減少といったものです。どのような抗がん剤を使うのかによっても現れる副作用は違いますし、個人差も大きいといえます。

抗がん剤治療を投与した当日は吐き気や嘔吐、発熱、血圧の低下などの恐れがあるのですが、症状が現れるのは当日だけではありません。その後2~7日ほどは疲れやすさやだるさ、下痢、吐き気などを感じることがあり、7日を過ぎてからも体調不良を感じる方も多いです。

こういったことを考えると、今回ご紹介した一定のリスク患者に対しては必ずしも化学療法が必要ではないという研究結果は非常に注目すべきものだといえるでしょう。

ピンクリボン運動の活動について

ピンクリボン運動とは、乳がんに関する正しい知識をたくさんの人に知ってもらい、乳がんによる悲しみから1人でも多くの人を守る活動のこと。1980年代にアメリカで始まった乳がんの啓発運動で、現在では日本全国にも活動の場を広げています。主な活動としては、乳がんの手術をされた人に温泉を楽しんでもらえるネットワーク作りや、乳がん自己検診を啓発するティッシュ・ポスターの作成。また、お母さんが乳がんを発症し闘病生活を余儀なくされてもきちんと学校に行けるように、高校生を対象とした奨学金制度も設けています。

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